原題:THE BUTCHER BOY

ずっと前から気になってたニール・ジョーダン監督作。
日本では某少年の事件があって劇場未公開のままビデオスルー(DVD化もされていない)。
近くのレンタル屋にも置いてなく諦めてたんだけど、 少し前にGyaOで配信されててやっとこさ見ることができました~

1人の不幸な少年の悲惨な人生を、コミカルなタッチで描いた怪作。
1998年のベルリン国際映画祭で監督賞を受賞しています。

アイルランドの田舎町で暮らす主人公の少年フランシー。
酒びたりな父親、精神的に不安定な母親との貧しい日常を、親友と共に空想に走ることでやり過ごしていた。
でも母親の自殺、親友の裏切りなど様々な要因が重なり、フランシーの精神は徐々に壊れていく。
無邪気で残酷な少年の行動はどんどんとエスカレートしていき...
そんな悲惨な話がコミカルに綴られていくという、なんともブラックで凄まじい作品。

フランシーは顔つきからして可愛さのかけらもない憎たらしい少年(子役イーモン・オーウェンズのハイテンションな演技が凄すぎ!)だし、最後には殺人を犯すまでになってしまうのだけれど、なぜだか共感してしまう部分がある。
そこまで追い込まれてしまった状況を考えると、単なる異常者だと切り捨てることなんてできないんですよね。
少年の孤独さ、弱さ、悲しみなど心の叫びが痛いほど伝わってきて途中号泣してしまいました。

『乙女の祈り』の少年バージョン、『プルートで朝食を』(監督&原作者が同じ)の裏バージョンと言った感じでかなりクセのある作品。(この2本が好きなら大丈夫じゃないかな)
人にはあまりオススメできないかな。


ブッチャー・ボーイ

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