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「犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」コニー・ウィリス著 [イベント・音楽・本]

「ボートの三人男」の副題"犬は勘定に入れません"がタイトルになっているこの本。
アメリカの女性SF作家によるイギリスを舞台にしたユニークでユーモラスなSF小説です。

レディ・シュラプネルから“主教の鳥株”なるものを探せと命ぜられた主人公ネッドが、いろいろあって19世紀ヴィクトリア朝時代のイギリスに派遣され、歴史の流れを元に戻すために四苦八苦する...というのが簡単なあらすじ。

戦時下のイギリスから始まる序盤はどういう物語なのかよく分からなくてややとっつきにくいんだけど、舞台がヴィクトリア朝に移ってからはキャラクターの魅力もあってどんどんと引き込まれていく。

のんびりとしたペースでユーモアたっぷりに進む前半。
「ボートの三人男」よろしくネッドが偶然出会ったテレンス&愛犬シリル&ぺディック教授と共に河下りをすることになったり、旅の途中に実際に彼らと出会うシーンがあったり。
「ボート~」を読んでなくても十分面白いけど、読んでいるとさらに楽しめると思う。

そしてネッドがレディ・シュラプネルのご先祖様トシーと出会うあたりから物語は少しづつ加速。
ネッドやヴェリティは歴史の流れを元に戻そうと躍起になるんだけど、事態はさらに混乱を極めていく。
トシーの運命の相手は見つからず、“主教の鳥株”の行方もさっぱりつかめないまま。
どうなるのだろうと思い始めたその後に待っているのは怒涛の展開。
大団円のエンディングまで一気読み。
伏線もうまく回収されてすっきり。
読み応えたっぷりでとっても面白かった!!

この作品、物語だけでなくキャラクターが凄く魅力的なんですよね~
主人公ネッドやヴェリティはもちろん、ジーヴスになり切るダンワージー先生の助手フィンチがお気に入り。
あとレディ・シュラプネルも強烈で忘れられない存在。
トシーとその家族や執事のベイン、テレンスとペディック教授などヴィクトリア朝の人々もいいキャラしてる。
ネッドがテレンスたちと別れるシーンはなんだかちょっぴり寂しくなっちゃいました。

それから「ボート」と同じく動物たちがめちゃくちゃカワイイ!!
繊細なブルドック犬シリルのなんとも愛らしいこと。
トシーの「かあいいジュジュ」こと猫のプリンセス・アージュマンドもいい味出してる。
カワイイ顔して主人公たちを思いっきり振り回しちゃう所が面白かったです。

SF的要素よりキャラで読ませる小説なので、SF苦手って人にもとっつきやすい作品だと思うな。
コニー・ウィリスの他の作品も読んでみたい。


犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-6)

犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-6)

  • 作者: コニー・ウィリス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/04/28
  • メディア: 文庫



犬は勘定に入れません 下―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-7)

犬は勘定に入れません 下―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-7)

  • 作者: コニー・ウィリス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/04/28
  • メディア: 文庫



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