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『心臓を貫かれて』(2001年アメリカ) [米ドラマ&TV]

原題:SHOT IN THE HEART

アメリカのHBOチャンネル製作のテレビ映画。
監督は『太陽と月に背いて』や『秘密の花園』のアニエスカ・ホランド。

ジョヴァンニ・リビシの出演作ってことですっごく気になってた作品です。
数年前にWOWOWで放送されたらしいけど、ビデオ化もDVD化もされていないから見れないなぁって思ったら、めっちゃ良いタイミングでTHE CINEMAで放送がありました~

原作はマイケル・ギルモアによる同名のノンフィクション小説。(村上春樹訳「心臓を貫かれて」)
1976年アメリカで実際に起きた殺人事件の犯人ゲイリー・ギルモアの実の弟である著者が事件の背後に迫った作品。
ゲイリー・ギルモアは自ら死刑を要求したことで有名な殺人犯で、この出来事がアメリカでの死刑制度の復活のきっかけになったそう。

原作はモルモン教の歴史から始まる闇につつまれた家族の話が中心に描かれている。
でもかなり長い話なので、映画ではゲイリーの死刑執行の数日前に刑務所で面会する兄弟の話を中心にし、家族の過去の話はフラッシュバックという形で描かれています。

数々の犯罪を犯し、刑務所を出たり入ったりの繰り返しの生活の末、見ず知らずの人を殺し、自ら死刑を望んだゲイリー・ギルモア。
彼はなぜそのような道を辿ったのか?
殺人事件の加害者の家族からの視点で語られるこの物語。
背後にあるのは両親の不仲、家庭内暴力、宗教、呪われてでもいるかのような不幸な出来事の数々。
ちゃんとした答えなんて出ないし、この映画や本が全てでもない。
それに被害者にとったらそんなの言い訳でしかないだろうと思う。
でも、自分がゲイリーの立場になったなら?マイケルの立場になったら?など様々なことを考え、そのあまりの重さと悲しさに、やりきれない気持ちになってしまいます。
ラスト、マイケルとフランクの残された兄弟の絆にほんの少しだけ救われ、そしてなんとも切なくなってしまいました。

作品的には半分ぐらいがゲイリーとマイケルの拘置所での会話なので、一つ間違えれば凄くつまらなくなってたかもしれない。
それでも見ごたえのある作品になってるのは演出の上手さと、俳優の演技の素晴らしさ!

特にマイケル役のジョヴァンニの演技にすごく引き込まれます!!
兄ゲイリーに対する複雑な気持ち、心の揺れなど内面からの感情が伝わってくる、そんな演技。
これまで見たジョヴァンニの中でも一番良かったかもー
そしてゲイリー役のイライアス・コティーズも巧い!
その他、フランク役のリー・ターゲセン(「デス妻」のSEX依存症の人)とか、父親役のサム・シェパードとか脇もみんな良かったです。

重くて辛い内容だけれど、原作そしてこの映画、どちらもぜひ読んで(見て)ほしい作品。
出来れば原作先の方が良いと思うけど。。


SHOT IN THE HEART

SHOT IN THE HEART

  • 出版社/メーカー: HBO
  • 発売日: 2012
  • メディア: DVD



心臓を貫かれて

心臓を貫かれて

  • 作者: マイケル ギルモア
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 単行本



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