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映画『ドッグヴィル』(2003年デンマーク) [映画]

原題:DOGVILLE

『奇跡の海』のラース・フォン・トリアーによる“アメリカ三部作”の第一弾。
主演は『ムーラン・ルージュ』のニコール・キッドマン。
アメリカ・ロッキー山脈の小さな村ドッグヴィルに、ギャングに追われたグレースと言う女が逃げ込んできて...


※注意!以下、詳しい内容に触れています。





床に白線を引き、最小限の家具を置いただけの殺風景なセット。
そして9章に分かれ、各章ごとにジョン・ハートによるナレーションが入るという構成。
初めの2章ぐらいはなかなか作品に入り込むことが出来なかったけど、章が進むごとに画面から目が離せなくなっていた。

すべてが見渡せる、普通の映画だったら見えない部分までが見えるという状況。
これって観客の視点を“神の視点”に置くのが狙いなのかしら?
今までのトリアーの作品と違って、かなり客観的に見ることができた気がする。
とは言えやっぱり描かれてることは痛々しくて見ていて苦しいのだけど...

章を進むごとに変化していくドッグヴィルの住人とグレースの関係。

最初は村に逃げ込んできたグレースを警戒していた住人たち。
やがて匿ってもらう見返りに労働をするという彼女を受け入れはじめる。
そして徐々に村人たちの要求はエスカレートしていき...

人間の弱さっていうか、ダメな部分や嫌な部分がどんどん曝け出されていく。
特に興味深いのはポール・ベタニー演じるトムのキャラ。
自分には力があると勘違いしているアホな男。
こういう奴が一番性質が悪いんだけど、でも自分自身にもそういう部分がないといえば嘘になる。
そしてまたこのトムが監督の分身みたいな役柄になってるのが面白い。

そして村人からの要求を受け入れ続けれるグレース。
虐げられるほどに美しく見えるニコール・キッドマンが印象的。
そんな彼女の最後の決断。
村人達も傲慢だけど、そんな彼らを許すことも傲慢。
父親の言葉に彼女はドッグヴィルの住人たちをこの世から消滅させることにする。
でも人が人を裁くという行為も傲慢であり、結局グレースも村人達も同じ。
そして観客や監督だって...
なんともトリアーらしい後味の悪さ。
アメリカ批判っていうより人間批判だよね、これ。


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