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映画『パンチドランク・ラブ』(2002年アメリカ) [映画]

原題:PUNCH-DRUNK LOVE

ポール・トーマス・アンダーソン監督がアダム・サンドラーとエミリー・ワトソンを主役に迎えて撮った異色のラブストーリー。
2002年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞しています。

マイレージを貯めるためにクーポンのついたプリンを買いあさった男という実話エピソードを元にストーリーを膨らませた作品。
7人の姉(ちなみに姉の一人は「24」クロエ役メアリー・リン・ライスカブ)に抑圧されすぎたためキレやすい性格を持つ冴えない男バリーがある女性との出会いによって変わっていく...

主人公のダメ男っぷりが良い。
とってもキレやすくって、ちょっと突飛で、ちぐはぐで。
落ち着き無く歩き回る姿がとても印象的。
アダム・サンドラーがそんな複雑で変わり者の男を見事に演じています。

そして、そんな見ていて痛々しくなるような男がこれまたちょっと変わり者っぽい女性リナと出会って恋して、変わっていく。
エミリー・ワトソンっていう配役も正解!
サンドラーとの意外な組み合わせが不思議とぴったりで面白い。
そこに絡んでいくフィリップ・シーモア・ホフマンのキレっぷりも最高です。

で、プロットだけ見るとラブコメとかロマコメみたいなんだけど、やっぱりポール・トーマス・アンダーソン、一筋縄ではいきません。
感情移入しずらい登場人物たちだし、淡々としてるし。
でも、冒頭の車の転倒、拾ったピアノ(ハーモニウム)、プリンのクーポンなどなどあまり本筋とは関係のないようにもみえる奇妙なエピソードがとっても効いていて、なんとも不思議な感覚のラブストーリーになっています。
ハッピーエンドだけど、そんなに甘甘でないのもとても心地よいのです。

そしてカメラワークや構図が見事!
光の使い方や色使いもとても印象的。
反射光がキラキラしてたり、露出多めになってたり、逆光で人物が影になってたりもぜんぶ計算されてるんだろうなぁ。
特にハワイで二人が再会して抱き合うシーンがめっちゃ素敵。
ジェレミー・ ブレイク(BECK「SEA CHANGE」のジャケットもこの人の作品)によるビジュアル・コラージュも美しい。

そしてジョン・ブライオン(『エターナル・サンシャイン』や『ハッカビーズ』もこの人)による不協和音のような奇妙な音楽がまた凄く効果的なんだな~
Shelly Duvallが歌う「He Needs Me」も可愛らしくて好きです。

これまでのこの監督の作品(『ブギーナイツ』や『マグノリア』)とは違ってシンプルに90分ちょっとでまとめてあり、最初は物足りなく感じたりもしたんだけど、見るたびにどんどん好きになっていくそんな作品です。


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